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RITSUMEIKAN UNIVERSITY RUGBY FOOTBALL CLUB

立命館大学
体育会ラグビー部

「Today is ‘GIFT’ 」木村隆雅

2020/09/09

「もうラグビーはやめた方がいいですね。」

 

そう医者から宣告されたのは大学3年生の春のことでした。

 

 

私はラグビー部に選手として入部しました。

高いレベルを求めて入部したので、毎日のラグビーがとても楽しかったのを覚えています。

私の人生が変わったのは、いまでも忘れません。2018年5月12日19時30分頃。

大学2年生のある日、ラグビー部の練習が終わり、ストレッチをしている時、私の体に異変が起こりました。

視界がぐらぐらと揺らぎ、めまいかな?と思っていたその瞬間、私は地面に倒れ込んでいました。

なんというか、はじめての経験でよく覚えていませんが、重力がすべて左半身に乗っかっているような、そんな感覚でした。

意識はすこしだけ残っていたので、仲間が駆けつけて来ている光景はうっすらと記憶しています。

そして救急車で運ばれました。

 

「木村さん!聞こえますか!?ここどこかわかりますか!?」

「病院つきましたよ!」

よく医療ドラマである救急搬送の場面に自分が患者として運ばれるなんて思ってもいませんでした。

 

そのあとは、「頭を絶対に動かさないでください!」

そう言われながら心電図やレントゲン、MRIなどの検査が深夜2時まで続きました。

当然、緊急入院となり、首と頭が固定され、ベッドの上で全く動けない状態の生活がはじまりました。

そんな生活が2週間続き、条件が色々とありましたが、やっと退院が許されました。

 

私のこの症状を簡単に説明すると、首の血管が一本切れて、詰まってしまい。それに伴った脳梗塞でした。

幸い、後遺症もなく生活できるそうなので、安心でしたが、私の気がかりはひとつだけ。

 

「ラグビーが続けられるのか。」 それだけでした。

 

1年近くリハビリを行い、大学との協議のおかげでなんとか選手復帰が許されました。親は大反対でしたが…(笑)

 

そして、復帰して1週間後、またしても身体に異変が起こりました。

 

視界の下半分が見えないのです。

 

 

病名は網膜剥離。

「手術をしなければと失明しますよ。」そう宣告されました。

わたしはもう、よくわかりませんでした。思考停止というやつです。

 

こんなにも一度に病気になるなんて。まだ20歳なのに。俺なんか悪いことしたかな。

そんな考えが止まりませんでした。

 

そこから二度の手術を受け、1ヶ月の入院生活がはじまりました。

私は感づいていました。もう大好きなラグビーはできないだろうと。

 

そして、「もうラグビーはやめた方がいいですね。」

 

予想はしていたのに、その言葉を聞いた瞬間の喪失感は、言葉にできないものでした。

目標が無くなるとはこういうことなのかと。思いをぶつける場所もなく、ただ時間が過ぎて行きました。

 

自分にはなにも目標がなくなってしまった。これからどうすればいいのか。

この喪失感をどうすれば良いのか。

 

答えなんてありません。

でも、私は気づいたんです。

 

毎日お見舞いに来てくれる、ラグビー部の同期、仲間。先輩や後輩たち、関西にいる高校の同級生、

監督やコーチ、そして、中学高校の先生、恋人、家族。

全然仲良くなかったのに、少ししか関わったことないのに、と思っていた人ですら、お見舞いやメッセージをくれたんです。

 

こんなにも多くの人が自分のことを、心配してくれていたこと。

励ましや、応援の言葉、LINE。

 

自分はひとりで生きてるんじゃないたくさんの人の支えで生きていたんだと、気付きました。

 

20歳になって、やっと気づいたんです。

今までは自分ひとりのことだけを考えて

生きていたのが腹立たしいくらい。

 

大切なことに気づいてしまったんです。

その日から、私の人生の目標は「ひとのために生きること。」

 

いまなら、どんな辛いことだって乗り越えられます。それが誰かのためになるのだから。

 

いままで私は支えられていただけ、これからは私がみんなを支えたい。

 

そしたらたまに、感謝が返ってくる時もありますよ。

 

下の手紙は僕の宝物です。ラグビー部の同期からもらったもの。

今は選手を辞めて、ラグビー部でストレングスコーチをしています。

この時、僕に手紙を読んでいた山田大貴が号泣。それを見て僕も号泣。いい思い出です(笑)

 

そして、もうひとつ。私は意識していることがあります。

 

「1日1日を大切に生きること。」

 

人間、いつ死ぬかわかりませんよ?

 

私はこの経験で死を身近に感じました。

だから、時間は無限じゃない、限られたものだと感じるようになりました。

そこで、私の座右の銘を紹介します。

 

“Today is a gift.”

今日という日は、大切な贈り物なんです。

 

人生は一度きり。もう戻れません。

死んだ時に後悔のないよう、1日を大事にしてください。

 

私はこの大学4年間、ラグビー部の仲間と過ごした時間を忘れることはありません。

1日1日大切に過ごしましたから。

 

私たちはこの一度しかない青春がコロナウイルスで制限されているけれど、時間は戻りません!

後悔がないよう、『関西優勝』に向かって、1日を大切に過ごします。

 

きっと、全力で挑戦すれば、残るものはありますよ。きっと。

 

Yesterday is history.

Tomorrow is a mystery.

Today is a gift.

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

関西Aリーグは不成立の可能性がありますが、僕らの目標は変わりません!

今後とも、立命館大学体育会ラグビー部の応援を、よろしくお願いします。

 

木村隆雅